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僕はorcaに恋してる8 ・・・・これは、だけどorcaじゃない

冬がすぎて春になって
バイトが変わり経済的に少し厳しくなって
でも日常にそこまでの変化はなかった。

強いて言えば夜勤をやめたことで生活が規則的になって
体重が少し増えたくらいか。

良く顔を出していた例のインカレサークルが今年もまたGWに自転車旅行
を企画し、今年は高田馬場~九十九里浜にみんなで行った。

去年は何も知らないルック車での参戦でそれなりにヒーローになった。

今年は曲がりなりにもカーボンロードに乗って、しかもモッコリパンツも履いていた。

みんなの冷たい視線を、むしろ心地よく感じる。

一人違う領域に踏み込んだ愉悦と、もう引き貸すことのできない位置に
来てしまったであろう背徳感。

常々重のだけれど自転車趣味とは、刹那的であり背徳的なのだ。

相変わらずほとんどの参加者はママチャリで、自転車を舐めるなと言いたくなる。
圧倒的な戦力差で一人栄光のゴールに飛び込むはずだったのだが、

ゴール直前の山道でこともあろうかチェーンが切れ、リザルトは一人リタイアとなってしまった。あのアルテグラのチェーンがだ!

ちなみに後にも先にも、チェーンが切れたのはこの時しかない。

モッコリパンツを履いて、一人サポートカーの奥に自転車と一緒に押し込められて
宿舎に向かうあの惨めさと言ったら。

さて、夏をすぎる頃に、新しいロードを買う事になる。
流石に自分のバイクがあまりに古いものであることに気がつき始め、なにか物足りなくなってきてしまったのだ。

今思えば、完全にホリゾンタルでスレッドタイプのあのロードも味があって良かった
のだけれど、当時はまだそういう懐古趣味には馴染めなかった。

オークションに出したところ、買値とほぼ変わらない8万円で買い手が付いた。
手放すときにちょっと申し訳なさと切なさを感じた。
自転車は、生きているとその時に感じた。

新しく購入したのは中古のキャノンディール。R700という機種。
キャノンディールといえばアルミ。アルミといえばキャノンディール。

2004年式だったのでそれなりに新しく、何よりも特徴的な
極太のメインパイプは迫力があった。

このアメリカのメーカーのアルミにかける情熱は凄まじい。
パイプ同士の溶接跡がほとんどないのだ。既にカーボンフレームが
主流になりつつある市場の中で、プライドと情熱をかけてアルミ技術を
磨き上げる。

入門機のグレードでも決して手抜きをしないことと、ときに誰も思いつかないような
変な自転車を作り出すこの企業の姿勢は今でもとても好感を持っている。

カーボン技術が爛熟した感のあるこの時代においてなお、
現行のスーパーシックスevoには咒い(まじない)に似たモノを感じるのだ。

R700のぱりっと乾いたアルミならではの乗り味と、それでも硬さを感じさせない
キャノンディールの技術力は大変満足できるものだった。

とてもいいバイクだ。
しかし、自転車がモダンになるほど心の中に乾きが生じてしまう。

・・・・これは、だけど、orcaじゃない。

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~レアメタルフレームの誘い ~  orcaに恋している9

確か自転車の軽量化に興味を持ち始め

たのもこのキャノンディールのアルミ
バイクをてに入れた頃だったと思う。

当然軽量化には資金が必要であり、

一介の貧乏フリーター(二十代後半、
人生詰みかけ)には苦しい話だ。

UCI規定という規則の中で大きなレースに出るロードバイクの最低重量が6.8kgであり、

この6k台というのが一つの自転車乗り夢だ、ということもこの頃に知った。

キャノンディールが確か8k半ばだったので(この頃のアルミバイクにしてはそれでも破格の軽さだと思う)

「6k台なんて無理じゃ( ゚Д゚)ヴォケ!!」
と一人で呟いたりしていた。

もはや日課となっている、オークションで単体フレームの項目を
ダラダラと毎日全商品チェックする行為。時間の無駄としか思えないのだけれど
そうしているとなぜか心が安らかになる。

フレーム中毒。完全に病んでる。

orcaが売りに出されないか、もあるが
その中で興味を引くフレームがあったら、それをネットで調べてみる。そうやって
徐々に自転車の知識が蓄えられていった。

ある日、見慣れない一つの単語が目を引いた。
「超軽量 スカンジウムフレーム」
売価は45000円即決である。

説明書きには、元海外のプロ選手が使っていたもので希少金属スカンジウム合金
で作られたフレーム。フレームセット重量は1450gだという。

自転車にハマる前は重度の鉱物中毒、あくまで精神的な意味の、
だった僕は希少金属とか希少元素とかいう単語に過剰に反応してしまう。

スカンジウムを調べると、金よりも同一重量の価格が高い、非常に珍しく
高価な金属だ。

そしてスカンジウム合金は旧ソ連、死神の指(デスブリンガー)と
勝手に僕が呼んでいたミグ21という傑作戦闘機にも使われている。

なんて心くすぐるソリューション!

この1450gという数字、当時のハイエンドカーボンフレームを凌駕する
(既に発表されているスコットのアディクトは別として)

当時超軽量と言われていたorcaやスコットCR1のフレームセット合計重量が1500g台、それを金属フレームで下回ってしまうのだ。

重量だけで考えるなら、恐らくそんなスペックのフレームを入手しようとしたら
中古でも2~30万は軽くかかる。それが45000円。
何でも一回落札した人間が商品にクレームを付けて返品し、捨て値で売りに出すしか
なくなってしまったそうだ。

一瞬目を疑い、3~4時間逡巡して、スーパーよしやの店内をグルグル周り抜いて

・・・結局落札してしまう。

キャノンディールのフレームを売りに出せば、生活資金は
なんとか事足りるだろうと計算したのだ。

ちなみにこの時はまだ自転車をバラした
こともなければフレーム組みをしたこともなかった。クリンチャータイヤの交換
すらやったことのない人間がだ。

全くもって、色んなことを「なんとかなるだろう」で自分を言い聞かせて
衝動のままに行動してしまう、つくづく病んでいる29の秋頃のことだった。

僕はorcaに恋してる 目次

※第一話、第二話は現在LOST中です。

3話 始めて買ったスポーツバイクはルック車だった

第4話 初めての栄光と盗難

第六話 カーボンフレームに咒い(まじない)が込められていた時代

第七話 罪は罪で帳尻を合わせてくる時代だ

第八話 ・・・これは、だけど、orcaじゃない

第九話 レアメタルフレームの誘い