フレームレビュー BMC SLR01 2012 

いい意味でこれほど期待を裏切られたフレームはなかった。

初めにメディアに露出して、その姿を見たときはあんまりピンと来なかったのを覚えている。

それまで僕の中でBMCというと池袋のY’sロードでレジ付近に

「また名車が一つ誕生した」みたいなポップとともに吊るされていた

SLX01(2009年モデル)のそれまでのロードにない近未来的なグラフィックや

SLCのイメージが強く、トップチューブのT字型の断面が非常に印象的だった。

特にSLX01は2009年もっとも美しいロード、なんて紹介されていたこともあった。
余談だけれど2008年はorcaか新世代マドンが一番美しい。僕の中では

SLXは唯一の存在。

カーボンとアルミがお互いの存在をギリギリのラインで主張しあい、破綻寸前の
均衡を取りながら、溢れ出るエネルギーを発散している。

そしてフレームのほんのわずかの表面積を占めるデジタルブルーのラインがいい。

数学的な各部のラインがいい。

飼いならすことができない野獣を、人間の知性で無理やり従属させているような

そんなカオスを感じる。

素材、グラフィック、成り立ち、色んなものが奇跡的なバランスを取りながら、
唯一の個体に集約している。

性能で言えば今はいくらでももっと洗練された物が手に入るけれど、

僕の所有しているバイクの中でもこのSLXは特別な位置にある。
そしてこれの代わりになるものは金輪際出ないんじゃないか。

そんなSLXのイメージの後に発表されたSLRだけれど、グラフィックは地味になり
トップチューブのT字断面は六角形になってしまって、少しがっかりした覚えがある。

それから数年、ツールを制したSLRが名車の殿堂入りを果たし、新型のSLRが各種メディアで絶賛され始め少しづつ興味を持ち始めた。

つくづく僕も現金な人間だ。

ちょうどそんな頃にオークションにてほどよい旧型のSLRが売りに出され、
興味半分で落札してしまったのだが

(例によって多少の傷モノを補修するので
値段は押して知るべしである。)

到着した箱を開け、実物を見た瞬間、電撃が走った。なんと美しいフレームかと。

BMCを侮っていた。

 

インペックなんてとんでもフレームを膨大な資金を投じて作り上げるメーカーだ。

素人が簡単に推し量れるフレームをトップグレードとして据え続けるわけがなかった

僕の入手したSLRはヌードカーボンのマッド仕上げにライムイエローのラインが
走る、最近流行の系統をいくデザインだった。

引き締まった躯体、控えめに且つ印象的に走るイエローのライン、相変わらず数学的なフォルム。

SLXの野生と理智を数段洗練させたような、ギリギリのアンバランスさ。

SLXの内包するエネルギーのベクトルは外部に向かっていて一瞬で見たものを惹きつける。

ならばSLRのエネルギーはそのベクトルが内部に向かっている。

一見地味なようでいてそのカーボン躯体の内部に高圧縮された空間が広る。

そして近づく物をその高重力で絡め取るのだ。

僕は見事に絡め取られた。

続く

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA