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パーツインプレッション 新型デュラエース FCーR9100

恥も外聞もへったくれもない、魔人の力を借りてでも速くあろうとしたらこうなった。シマノ期待の新型デュラエース。

その設計思想がある意味一番結晶化しているとも思えるのが、今回のクランクでございます。その通り名はFC-R9100。

fc9100搭載機に撃墜されたライダーたちの間でいつしか「ニンバス」と呼ばれるようになるこのクランク。

それにしても、宗教画に出てくる聖人たちの頭上に輝くあれは一体?

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構造変化や新テクノロジーを様々投入しつつも、新型をもっとも象徴するであろう今回のクランク、FC-R9100

クランクアームの4本化だったりチェーンリングの中空化だったりとそのつどアップグレードのたびに何らかのトピックがあったこれまでのクランクのアップグレード。

今回はパワーメーターの導入がそれにあたるのでしょうけれど、そんな高価なものまで入れてしまったら帝都に上納する年貢を払えなくなり、ついには来年の種籾まで持っていかれそうな我々としては、あまり関係のないファクター。

そうなると今回の変化は何か。単純に太くなった。としか言いようがありません。ドライブ側のクランクが恥じも外聞も投げ捨てて、一番応力のかかるであろう箇所が過剰なまでに太さを増しています。あと黒さも。

それでいて、カタログ値で10g近く軽くなっているとはこれいかに?

太くて黒くなったのなら、これはもう剛体としては絶対的正義といっていい変化ですが、これが自転車パーツとなると話は別になってきます。

 

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上から見た図。旧式のスーパーレコードに見られるような、頬ずりしたくなる曲線美など比肩することすら恐れ多い。ただただ、ごつく、悪魔的なまでに黒い。

クランクは一部の宇宙人人類創造説を教義とする集団の間で、自転車の顔といわれています。回転部の根幹を成す性能的な重要度はもちろん、バイク全体のイメージもつかさどる重要パーツ。

世のほとんどのクランクアームは左右対称性を持っていたわけで、アーム部分がこうも露骨なまでに対象性の破れをもって鎮座している様は、多少の違和感を覚えてしまいます。まあ、見慣れてしまえばそういう物と認識できるのかもしれませんがな。

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確かにクランクのこの部を太くするのは素人考えでも理にかなっているような感じはします。必要なところに強度を集中させることで、ほかの部分を薄くしても大丈夫になったから、全体としては軽量化を図ることができたのでしょうか。

でもさ、それは分かっていたけれど、みんなやらなかった領域じゃありませんかな?シマノさん。自転車の顔、クランクは左右均整が取れてこそ古来から受け継がれてきたロードバイクの美をかもしだすのですよ。

と、シマノに追いつけ追い越せと励んでいる他の競合他社たちの叫びが聞こえてきそうな気がします。シマノが口火を切ってしまったからには、各社のモラルハザードに歯止めが利かなくなる。そんな事はあるか否か。

ちなみに気になるクランクアームの太さですが、デジタルノギスで測ってみたところ、9000系のアームがおよそ45mmに対して、リブが追加された9100の太いところは54mmありました。

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以外にもノンドライブ側は、45mmと9000系と変わらず。

、と僕程度の学識の人間では今回のクランクにおける変更点は、アームが太く左右非対称になったことくらいしか見出せませんでした。

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が、面白いなと思ったのは、今まではその時代のシマノ金属加工の先端技術を詰め込んだのがデュラエース。あくまでジェラルミンの素材感をデザインの中に押し出してきた感じがしていたのですが、今回はその素材感があまり感じられないデザインになっています。

カンパでも、FSAでもイーストンでも、カーボン素材の持つディティールが高級パーツの趣を出していたのに大して、シマノは鍛え磨き上げられた金属の質感と加工技術の高さをもって高級感を演出してきと思います。

9100は、高級で精密な金属質感を与えられずただただ合理と性能だけを前面に押し出してきたデザイン。これはこれで削りだしの鋼の様な迫力はありますが、デュラエースというブランドがなかったら果たして大人の所有感を満足させるにいたったのでしょうか?

この黒塗りが、カーボンの美しい折り目を生かしたグラフィックだったら、また見た感じは変わってきたかもしれません。

以前何かに書いたように、デュラエース自身がアイデンティティーの一つである、金属素材であることに足かせを感じ始めているのではないでしょうか?

この先も金属に拘るなら、恥も外聞も捨てて合理一直線に進まなければならない。そうして生み出されるプロダクツは、既存の自転車の枠を逸脱し始める。それを我々の五感は受け止めらるのか?

とそんな問いかけをこのクランクは投げかけているような気もします。このひりひりと稜線の上を行くような立ち居地に、9100の魅力はあるのではないでしょうか。ん?「ニンバス」って結局なんだったのだ?

それは次回。

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