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ロードバイク インプレッション BMC SLR01 カーボンフレームは電気羊の夢を見るか 3

カデル・エヴァンスがツールを制した2011年をBMCの躍進の年と捉えるか、名車SLR01のモデルチェンジが絶賛のコメントで各種メディアを席巻した2013年とするか。

とにかく、どこか斜に構えて記号のようなバイクを作り続ける集団。独自の立ち居地にあるちょっとマニアックなフレームメーカー。そんなイメージをBMCに抱いていただけに、まさか憧れのトップブランドに比肩するビッグネームになってしまうとはちょっと意外な所なのだ。

昨年の憧れの自転車ブランドランキングトップ3に入っていたような記憶がある。そのランキングの信憑性は別にして。

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先代のSLRも一時期保有していた。昨年冬に次世代のSLRを手にする機会があってそれを手放してしまったのだけれど、確かにあのバイクも良いバイクだった。

それまでのBMCはフレームを軽くすることに関してはいささか無頓着なところがあったように思う。アルミとカーボンを変な位置で接合したSLX01というモデルは、BMCの独特の物造り感覚が遺憾なく発揮された稀有で愛すべきモデルだった。

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偉く力の入った特設ページが用意された。旗艦モデルSLR01ですらそんな扱いは無かったのに。斬新で更に記号的になり、合理と狂気の同居したようなルックス。

非常に手が込んでいて、それがゆえに構造的な欠陥も宿していたシートポストは恐らく見た目とコンセプト優先に作られていて重量や汎用性を置き去りにしていた。

サドルの高さを微調整するために、車体を転地返しにしてハンマーでサドルを裏から叩かなければサドルが動かない機構とは一体なんだったのか。

シートチューブからトップチューブ、ダウンチューブ前半三分の一をカーボンとして軽量化とコンプライアンスを確保していたはずなのに、何故かフルアルミモデルよりも重く、のり味はとてもスパルタンなものだった。

それでも、それでも何故かこのSLXは多くの人々の心を鷲掴みにしてしまった。

上記のような構造上の特徴を僕は、否定的な見地で語っているのではなく、むしろこの上なく愛おしいバイクの受け入れるべき側面としてみているし、多くのSLXに惹かれた人たちもそうなんだろう。

話がそれてしまったのだけれど、先代のSLRはそんな尖がった物造りに徹していたBMCがはじめて作った「マトモ」なバイクだった様な気がする。BMCが内包していた狂気や変態度数はいささか控えめになっていた。

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随分フレームは軽く仕上がり、軽量バイクといっても差し支えの無い数値をマークする。しなやかさと羽の様な優しいペダリングフィールを身上としながら圧倒的な加速感を併せ持つ、それはそれは見事なバイクだった。

そして幾度かのマイナーチェンジを経て、SLRは

ツールを制し

アルカンシェルを身に纏い

名車の名を刻み込みBMCを一躍スターダムにのしあげる。

そして2013年この名車は車名と特徴的なシルエットを引き継ぎながら全く新しいバイクとして新生する。

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次世代のSLRがどのようにして産み出されたのか、散々各種メディアにて語られているのでここでは言及しない。

とにかくその乗り味と運動性は凄まじいの一言に尽きる。先代の雲の上を行くようなしなやかさは無くなってしまったけれど、ダイレクトでカリッと乾いた感じのトラクションは、道路が背中を押してくるような錯覚を伴いながら前方の空気を切り裂いていく。

力強さと軽さが高次元でまとまっている。ここまで力強いと普通は少し足に重さを感じそうな物なのに、あくまでSLRのかかりは軽いのだ。それでいて足にも優しい。強化されたヘッドセクションは走りに安定感をもたらす。こうして乗り比べてみると先代は良くも悪くもフワフワとしていたのだろう。

近代ロードバイクの理想像のような走り。動的性能でいうならこれ以上のモノは存在しないのではないか。そんな考えすら沸いてくる。

しかし、しかしだ。そんな優等生でただただ良く出来たバイクは面白くない。あまりの性能に疑いを抱き、猜疑心を持って注意して乗り込んでいくとやはりBMCのいたずら心が見えてくるような気がしてくる。

スイスの変態頭脳集団はクールで最高な性能の裏に、更に煮詰まった狂気と偏執を紛れ込ませてきたのではないか。BMCはずっと自転車業界を斜め上から眺めてきた「メタ自転車集団」なのだ。

 

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