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さよならmadone 6.9 2007 こんな小春日和の穏やかな日は 

穏やかな秋晴れ。この数週間で目に見えて柔らかくなった日差しの中でも、耳をすませるとすこしづつ、冬の足音が聞こえ始めるこの頃。

madon 6.9 をお嫁に出すことになったのであります。

完成車の状態で発送するにはちょうどよいサイズの箱がなく、本格的な組み付けは未経験の嫁ぎ先の事を考えて最低限のばらし作業を行いながら、幸せになってくれよと願いをこめながらボルトを一つ一つ緩めていきます。

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trek madone 6.9 それまでの質実剛健、冗談のひとつも通じないような直線だけで構成されていたmadone から一転、艶かしい曲線を身にまとって突然降臨した新時代madone 。

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カーボンモノコックがロードバイクを全く新しい物に変えていく。そんな予感を抱かせる有機的でエレガンスなデザイン。全方位圧倒的な高性能でたちまち当時のフレームの頂点に君臨した名車なので、これもストックしておく価値のあるフレームと思い入手したのが今年の春。

それでもなぜかほとんど組み付けたまま乗る機会を逃し、ガレージに眠り続けていたバイクであります。

しかしこの後姿、うっとりするほど美しい。

数年前、東京に住んでいた頃にロードを組んであげた後輩がつい最近盗難の憂き目に会ったと連絡してきました。そしてできたら何とかもう一台都合してほしいと。

彼が乗っていたバイクも、この次の世代のマドン、5シリーズでした。ジャンク品として20000くらいで手に入れたフレームにリペアを加え、東大生の癖に金のない彼のためにシマノ2000系をはじめ、格安パーツで一台を組み上げてあげたのがおよそ2年前。総工費65000円位だったかな。

貧弱なパーツ構成でも、彼はマドンの別次元の足あたりの柔らかさに感激しすっかりロードにのめりこんでしまったのでした。

同じように金のない学生にロードを組んでやることが結構あり、その度に感じることがあるのですが、自転車を大事に扱わないやつは大体半年くらいで盗難にあいます。そんな輩は駐輪はじめ危機管理意識の問題もあるのですが、大概自転車に対する愛がない。

ろくなメンテもしないのでブレーキも変速もがばがばの状態で乗り続けている。車体は塗装が痛み、風雨にさらされパーツはさびが浮き、ハンドルのクランプが緩んでいるのがレバーがお辞儀している。そんな状態のバイクをみて、「もうちょっと大事にあつかえよ」と苦言を呈しながらも内心では「そろそろ逃げ出すな」と残念な思いに駆られるのです。

そう、表面的には盗まれたようでも、結局ぞんざいに扱われたバイクたちが辛抱を切らして持ち主から逃げ出したんじゃないか、そんな風に感じることが多々ありました。まあ、最近の若者は物を大事に扱わない輩が増えていると感じますが(すっかり爺感)

そんな中でも彼はマドンをすっかり気に入り、大切にしながら自分で面手の方法なんかも調べていたらしく、僕が長野に戻ってからもたまに車体のシャメをおくってくれたりしていたものです。

自転車に愛がない人間には幾ら積まれても絶対に組んで上げたくありませんが、自転車をただの乗り物以上のものとして感じてくれる人間には幾らでも作ってあげたくなるのが人情って物です。

とゆうことでガレージで寂しそうにしているマドン6.9に聞いてみます。「お前をかわいがってくれる人のところに行くか?」もちろんマドンは喋りませんが、なんとなくわずかにフレームを撓らせて、決心したように感じたました。すべては僕の妄想ですが。

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とゆうわけで、ブレーキシューをアルミ用に変えて、車体をクリーニングして今日、マドンは旅立ったわけであります。コラムスペーサーに一枚かましたピンクの彩りは、せめてもの親心。新しいご主人が少しでも気に入ってくれるように願いをこめて。

ごめんよ、あんまり乗ってあげられなくて。新しいご主人にたいせつにしてもらうんだよ。

マドンにとっては僕はあまりいいオーナーじゃなかったのかな?それともジャンク品として出品されたお前を引き取り、乗れるようにリペアを施しただけでも救われてくれたのかな?

なんだかちょっと泣けてきた。

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