ダマスカス包丁が欲しい

最近妙にまたダマスカス合金製の包丁が欲しくてたまらない。

刃の上に怪しく浮かび上がる独特の模様は、一つとして同じ物は無く

王道のラダーや鳥の目といった物からツイストやら波型の物、どんな物でもいい。できるだけ模様がはっきり浮き出ていて、恐らくそれは酸か何かで腐食させたりと特殊な加工を施されているのだろうけれど、怪しい感じがあれば有るほどいい。

うちのペンション仕事は、一旦シーズンが始まるとその仕事の大半を厨房仕事に当てることになる。当然キッチンにいる時間が長いわけでその時間をいかに快適に過ごすかが重要になってくる。

そのときに、手の一部となる包丁が使い心地がいいもしくは男心をくすぐる物であるならこの仕事の大変さがいささか緩和されるのだ。

依然、愛刀のグリップをフルカーボンにしてカーボン折り目に心が奮い立つようにしてみた。カーボン萌えだ。だが、その効能もそろそろ薄れてきた。

ダマスカスの存在を知ったのは確か中学生の頃。名作SF漫画「銃夢」のワンシーン。数種類の金属を混ぜ合わせ、マーブル模様になった金属はしなやかで折れず、類まれなる切れ味を有する。という設定に文字とおり厨2心がくすぐられた。

ダマスカス合金、というのは実在の話。

古代シリア王朝の伝説の技術であり、現在はその技術は失伝されている。それを、劇中ではナノテクノロジーを駆使して再生していた。そんな設定は心が震える震える。西野○ナ並に震える。

それから十数年。ふとしたことからステンレス製ダマスカス包丁の存在を知る。当時フリーターだった僕は安月給にもかかわらず即座に飛びついてみる。一本一万円。包丁に一万円はエンゲル係数と比較してもかなりの買い物。だがためらうことは無かった。

伝説の金属が手に入るというのなら。

そうして喜び勇んで手に入れたダマスカス包丁は、しかし

これじゃない感が漂っていたのだ。肝心のランダムな模様はうっすらと浮かび上がっているに過ぎず切れ味も、所詮はステンレス合金。普段使っている鋼の包丁とは比べるまでも無かった。

そもそも一万円で、現在は失われてしまったロストテクノロジーが手に入る訳はないのである。

実は喜び勇んで父親にも一本プレゼントしていたのだ。親父、之は伝説の金属が現代の技術で再現された物なんだぜ、と自慢してみたかった。

あわよくば二人でその切れ味について語り合いたかった。が。

正月に帰省してみると、あえなくダマスカス包丁は根元からへし折れて討ち捨てられていたのであった・・・・続く

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA