マスク族

僕は人の顔と名前を覚えるのが中々苦手である。客商売をしている身としてはこれは中々致命的なのかもしれないのだけれど、さてどうしたものか。

先代の経営者の父親なんかは結構過去に来たお客様やバイト君たちの顔を覚えている様で、一度どういう風に記憶しているのかコツを知りたい物なのだ。

もしかすると、本質的なところで僕は人間に興味が薄いのかもしれない、何てことも考えてしまう。

さて、知り合いに、桜の季節からサンタが街を蹂躙する季節まで、一年のほぼ毎日を、マスクをつけて生活している人間がいる。

彼の素顔はもはや僕の中ではマスクがワンセットとして記憶されてしまっているので、たまに素顔で街中で出会い、挨拶をされても誰だかわかない。

もともと人の顔と名前が一致しにくい上、マスクで顔の下半分を隠されてしまっていたら、もうお手上げなのである。

こういう出来事が重なるからなのか、どうにもマスクという物が好きになれない。他人が着用するのも、自分が着用するのも、生理的に受付られない。

俗に言う「マスク族」という存在が理解できないのだ。

昨年、pm2.5やらmarsやらがお隣の国からこんにちはしてきて、町中にマスク族が溢れかえっていた。もう、僕からすると悪夢のような光景なのだ。

町を歩くたびに、ここは彼岸島なのか、とかお前らみんな筋肉王家の末裔なのか、と突っ込みを入れたくなってきてしまう。

知る人ぞ知る彼岸島という漫画では、島中に吸血鬼ウイルスが蔓延していて、マスクをしていないと感染、吸血鬼化してしまう。

という設定なのだろうけれど、実は劇中にマスクをしている登場人物は主人公の兄一人しかいなかった。

それにもかかわらず常にフードを被りサングラスで目を隠し、そしてマスクを常用しこーほーこーほーと荒い息を吐きながら、丸太で吸血鬼を屠りまくる。

彼のインパクトのせいでマスク族をみると、まずは彼岸島が連想されてしまう人は僕だけではないはずだ。

そして、当然、筋肉マンをはじめとする筋肉一族は産まれた瞬間マスクを被らされ、一生の間素顔を隠し続けなければならない。

もし余人に素顔を見られるならその場で切腹しなければならないというあまりにも惨い設定が、おそらくその場のノリで与えられてしまっている。

が、この筋肉マスクを剥がそうとすると、素顔が謎の光を放ち見る者の目をくらませるのだ。そのため、素顔を見られて自害した一族はいまだ出ていない模様。なんというか後だしジャンケンのような。

しかもこの光線には不可思議な力がある。

・ドブのように汚れ異臭を放つ淀川を瞬間に浄化、

・鉄骨を折り曲げる

・怪我を治し、死人を蘇らせる

そのほかにも、おそらく使用者のやりたい事が都合よく具体化されるのがこのフェイスフラッシュの効能。

僕の知る限りキリストの神の御技を超えるような軌跡を頻発している。しかもそれに対してこの力の使用者は何のリスクも負っていないように見えるのだ。

それとも頻発することの出来ない負担が実は掛かっているのだろうか。

とにかく、ここは彼岸島なのか、とかお前らみんな筋肉王家の末裔なのか、と突っ込みを入れたくなってきてしまう。二回も言ってしまった。

人間、少しくらい雑菌の中で暮らしていないと抵抗力が下がるような気がする。あんまり普段からマスクをしているとむしろ病気になりやすいんじゃないかな、なんてことも考えてしまうのだけれどどうなのだろう。

それから、知り合いに一つのマスクを毎日裏表を返しながら使い続けている人間がいる。非常に非衛生的で雑多な菌や汚れをむしろまとめて体内に取り込んでしまっていると思うのだが、どうなんだろうか。

彼は意図的に体の免疫力を高めようとしているのか。

いずれにせよ、このまま時代が進むと彼岸島のようにマスク常用の社会が来てしまうのかもしれない。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA