レーザー脱毛の話・結 ビューティフルスレイブ

最近はどうだか知らないけれど、僕の美容に対する関心がマッドマックスだった頃の男性美容業界というのはまったく信用なら無い物だった。

洗顔料にも化粧水にもとにかく重要なのは清涼感。

彼らの商品コンセプトはとにかくメントールをこれでもかとぶっこんで使用後にさっぱりとした清涼感を感じられればそれでオーケーなのだ。あと、洗顔スクラブ。お前は絶対ゆるさねえ。

洗顔料の中に微細な粒を混入させ、それで顔を洗おうものならこれらの粒粒が毛穴の奥まで入り込み、頑固な汚れも一網打尽、だそうな。

ただでさえ過剰なまでにメントールの配合された洗顔料に、そんなたわしみたいな物で男性のデリケートゾーン(顔のことね)をごしごしとこすったらそれはさっぱりするわな。毛穴の奥のギトギトした皮脂も落ちるわな。

だけど、それがどんなに肌にダメージを与えるのか。

それはゴジラ松井選手のバットフルスイングをまともに喰らうほどのダメージ。

まじめに勉学に勤しみ、仕事に励み、家庭を養う。そんな中で血肉を絞るとるようにして捻出した資金を握り締め、薬局の男性化粧品コーナーであれこれ物色する事をささやかな楽しみにする美容男子達。

彼らはほんの少しだけ美容に対する関心が高いだけの何処にでもいる男性達だったのだ。もしかしたらこの文章を読んでいる貴方もそうなっていた可能性は充分にある。

そんな無辜なる彼らにイメージ戦略だけで間違った美容知識を植え付け、搾取し、多くの男性の美容的独立の歩みを大幅に遅らせた罪は決して軽くない。塩素風呂に三時間くらい漬け込んでやりたい。

当時はまだ美に関心ある男性の市民権は今ほど確立されておらず、美に関する情報はおおっぴらに開示されていなかったので、間違った男性美容情報がまかり通っていたように思う。これだけ美が乱舞する文章も珍しい。

断言しよう。間違った情報を信じ込まされ、多くの男性は美容的奴隷状態に陥っていたのだ。

美の奴隷。ビューティフルスレイブ。これだと美しい奴隷か。

もしかしたらこれは、男性が美しくなる事で、自分たちの地位が脅かされることを畏れた一部の女性達の策略なのかもしれない。

美に関しては彼女達に一日の長がある。無知なる男性諸氏を手玉に取ることなんぞ、すね毛を脱色して生えてない様に見せる事よりもたやすい筈なのだ。

「世の男性達よ、立ち上がれ。

我々は常に美的圧政に苦しめられ、だまされ、人間的尊厳を踏みにじられてきた。

流布される情報により我々の魂の拠り所たる肌は荒れ果て、命の泉が湧くはずの毛穴は無残にも広がり異臭を放つ。

魂を汚され、自尊心を慰めるべく我々は時に同胞とすら争い、奪い合い、無益なる血を流しさえしてきてしまった。こんなことはもう終わりにしなければならない。

奪われた美を取り戻し、やつらの罪と無知と毛穴を白日の下にさらすための戦いに、このビューティフルウォーに勝利し美的独立を勝ち取るのだ!」

とそんなことを考えていた時期もありました。

だんだんめんどくさくなってきたので途中を省きますが、そんなこんなで紆余曲折をへて、医療レーザー脱毛にたどり着いたわけです。渋谷で見つけたそのサロンは奇跡的な安さで、口、頬、あご下をいっぺんに施術しても5000円というありえない価格。

一ヶ月に一回のペースで半年ほど通いつめ、無事につるつるのお肌を手に入れることができたのです。肥大し、醜い螺旋を描いていた毛穴と埋没毛は跡形もなく根絶されてしまいました。

しばらくするとそのサロンは残念なことに姿を消してしまうのです。

僕の魂を癒し、心を慰め、人生を前向きに生きることを教えてくれたそのサロン。名前は伏せますが、そのサロンをいろいろ調べてみたところ、情報が見つかりません。その場所に美容サロンがあったという痕跡さえ消えているのです。

不思議なことですが、もしかしたら強く脱毛を願う僕の意思の力が根源の力に働きかけ、僕だけに見えるサロンを一時的に作り出してしまったのでしょうか。

 

強い願いは、奇跡を起こすのです。めでたしめでたし。

 

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