西武新宿理容戦線異常なし

季節は春だというのに今日は寒い日だ。

これが花冷えというやつだろうか

しかしおかげで着慣れたジャケットで外出することができる。今日はついている。

擦り切れたジャケットの襟を合わせながら、肌になじんだその感覚が高揚した心を
落ち着かせてくれる。

やはり、戦場には一番手に馴染んだものを、というわけか・・・・

灰色い雑踏の中を歩いていくと前の方から見慣れた顔が近づいてきた

「よう○○、どこ行くんだ?ってお前まだそのジャケット来てるのかよ、
物持ちいいなあ」

俺「ああ、ちょっと野暮用でな」

これは良くない

せっかく適度に張り詰めた精神が日常の感覚の中で弛緩していくのが分かる。
ここは早めに切り上げなければ
俺「すまん、ちょっと急ぐんだ。・・なあ、もし俺から2日間連絡がなかったら
・・・・いや、何でもない。達者でな」

そい言うと、まだなにか物言いたげな友人を残して足早に目的に向かっていく。

日常は感覚を鈍らせる。今は馴れ合いは必要ない。必要なのは鉄のような
冷たく確固たる精神だけだ。

そして数分後、俺は例の場所の扉の前に立つ。
その建物の異様だけでも、既に俺の背中と脇は嫌な汗でべっとりとなってくる。
この感じだけは毎回馴染むことができない。

苦笑いを浮かべると、俺は萎縮する体を精神の力で押し切って、力強くドアを開ける。

「いらっしゃいませ~☆彡」

天使のような、しかし心の中では何を思っているのかとんとわからない機械のような笑顔が俺に注がれる。

スペースの奥に目をやるならそこには耳障りの悪い音楽と、オシャンティな連中が
牙をといでいる。そう、ここは美容室。


完全なアウェイだ。

急にアニメソングが
聴きたくなってきた

「15;30に予約した○○だけど」

動揺を隠しながら答える。あくまでクールに。

「あ、カットとシャンプーですね、お待ちしておりました☆
こちらへご案内いたします♫」

手馴れている。はたして一体何人がこいつの餌食になってきたのだろう。
また、背中に冷たい汗が流れる。

彼女はあくまで柔らかな笑顔と穏やかな物腰だが、それがむしろ不気味だ。
つかみどろこの無い様な目線で、俺のつま先からてっぺんまでを値踏みしてくる。

普通の人間なら彼女の発するオーラに、一瞬で心をあずけてしまうだろう。
しかし、俺の百戦錬磨の眼力は彼女の腰の部分の膨らみを見逃さなかった。

あそこには奴らの武器、通称シザースがかくされいる。

「上着をお預かりしますねー☆」

ここで一瞬逡巡した。着慣れたジャケットをここで渡してしまっていいのだろうか?

しかし、今はまだ奴らのターンだ。ここはおとなしく従うことにしよう。

不安を悟らせないように努めて冷静にジャケットから袖を抜いていく。

ジャケットを手渡してから俺は大きな失態を犯したことに気がついた。
ポケットにスマホと鼻炎薬を入れたままだったのだ。

やれやれ・・・今日は厳しい戦いになりそうだ。
まさか完全なアウェイの中で徒手空拳で相手に挑まなければならないとは。

せめてネットで同士達と連絡が取れるならまだよかったのだが、これで俺は
孤立無援になってしまった。

・・・・続く。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

「西武新宿理容戦線異常なし」への4件のフィードバック

  1. 1. ブログ見ました^^
    記事読ませて頂きました♪僕はまだまだ勉強中ですが、脱サラとか起業の事を書いたりしてます♪またちょくちょく来ますね♪是非やりとり出来たら嬉しいです♪
    http://ameblo.jp/goj58/

  2. 3. 無題
    どうもはじめまして(・∀・)いくつか記事を読んだのですが、人柄が伝わってきました。次の記事わくわくしながら待ってます。こちらのブログにも来てください!
    http://ameblo.jp/eng-wakuwaku/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA