高田馬場放浪記 ~飯森歯科医院編~

幼い頃はよく兄に苛められていた。

ちなみに幼少~高校卒業までを実家で
過ごしたわけだけれど、僕たちが暮らしていた
長野県、飯山市、木島平村。

僕のうちはペンション、宿泊業を生業としていたので
山の中にある。友人たちはほとんどが山を下ったところ
にある集落に住んでいるため、あたりに同世代の
友人たちがほとんどいない。

家の中で常に僕に嫌がらせをしてくるひとつ上の兄は
僕にとって唯一といっていい、外敵だった。

小学校まで通う農道を下る途中でも、なにかと難癖を
付けられてはカバンを持たされ、虫を投げつけられ
草の汁をこすりつけられ、嫌がらせのオンパレード。

走って逃げようにも、肥満児だった僕は少し走ろう
ものならすぐに息が上がってしまう。
悔しいことに兄は動ける肥満児だったのですぐに
追いつかれてはまた様々な精神的、肉体的責め苦を
味わわされるのだ。

比較的穏やかで寛容であると自認している僕の
精神的許容量はこの時に醸造されたのかもしれない。

そんな僕にとっては傲岸不遜、不倶戴天の敵である
兄が唯一、兄の威厳を失いその権威が失墜する時が、
歯医者の時間だったのだ。

一度、田舎の歯医者に通った時に、どうやら泣き叫ぶ
幼児を固定するために、施術用の椅子にネットで縛り
付けられた経験があったらしい。

それから兄にとって歯医者はトラウマになり、夜な夜な
うなされ、治療の日には、なんとか嘘をついて歯医者を
逃れようとする。気がついたら待合所から抜け出そうとする。
一度など、治療の日の朝から雲隠れしてしまって近隣の空き地に
乗り捨ててあったブルトーザーの残骸に夕方まで
隠れていたこともあった。

無理やり歯医者に連れて行かれ、待合所から抜け出すことも
できず、施術室に呼ばれる順番が来よう物なら、
あたりかまわず泣き叫び、両親を困らせる。

その姿は普段僕をいいようにおもちゃにしている
悪鬼羅刹のような兄ではなく、哀れにも泣き叫び
屠殺場に連れて行かれる家畜のようで、幼いながら
に哀れみと優越感を感じてしまった。

そんな兄の姿を横目に見ていたので、僕は
歯医者に連れて行かれても粛々と過ごしていたのだ。
あんなふうに泣き叫ぶのはみっともない。
しかし内心はガクブルだったのは言うまでもない

あー、高田馬場にある、飯森歯科医院という
僕の十年来の行きつけの歯医者の話をしようと
思ったら、兄の情けなさをつらつらと述べるだけに
なってしまいました。ちょっと長くなったので
続きはまた次回に・・・

みなさん、歯を大事にしてください。

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